「アウンサンスーチー氏の解放のために動き、彼女をバチカンに受け入れる提案もした――教皇」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

アウンサンスーチー氏の解放のために動き、彼女をバチカンに受け入れる提案もした――教皇

イエズス会士だったローマ教皇フランシスコが、世界各国を訪問する際、現地の同会士と懇談するのが慣例となっている。インドネシア訪問中の9月4日にも、彼らと面会し、ミャンマーのイエズス会士からの質問に答える形で、「アウンサンスーチー氏の解放のために動き、彼女をバチカン市国内に受け入れる提案をした」と明かした。イエズス会の機関誌「ラ・チビルタ・カットリカ」がこのほど、関連記事を掲載した。当時、教皇がどこで、誰に対して提案したのかは明かされなかった。

さらに、教皇は、「私たちは、家族を含めた多くの命だけでなく、夢も未来も失った。希望を失わないために、どうしたら良いのか」という同国イエズス会士の質問に対し、「ミャンマー情勢は、困難な状況にある」「ロヒンギャの人々に思いをはせている」と話した後、「(2017年に)ミャンマーを訪問した時、国家顧問だったアウンサンスーチー氏と話したが、彼女は今、監禁されている」と悲しんだ。また、ミャンマー訪問直後にバングラデシュを訪れた際、ロヒンギャの人々と会ったことを追憶し、「あなたの質問に対しての普遍的な答えはない」と応じた。

だが、「故国のために闘う、勇敢な若者たちがいる」と期待を寄せ、「ミャンマーの現状を前に、沈黙していてはいけない。何とかしなければならない」と強調。「あなたの国の未来は、人間の尊厳性と全ての人の権利、それぞれが共通善(公共の利益)のために貢献できることを可能にする、民主主義による秩序を基盤とした平和でなければならない」と述べた。

ここで、教皇は、「私は、アウンサンスーチー氏の釈放を要請し、ローマで彼女の令息とも会った」「彼女をバチカン市国内に受け入れる提案をした」と明かし、「彼女は、ミャンマーの政治的なシンボルとなっており、守られなければならない」と語った。

最後に、国軍兵士の前に跪(ひざまず)き、両手を挙げて一般市民に発砲しないように懇願したカトリック修道女の姿を追憶するようにと促し、「あの修道女の映像が世界を駆け巡った」「彼女のように、ミャンマーの青年たちが勇気ある行動を展開してほしい」と話し、「あなたたちの教会には勇気がある」と鼓舞した。

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