「ムスリム世界連盟とバチカンの対話」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

教皇のモンゴル訪問日程が公表

バチカンのマテオ・ブルーニ報道官は6月3日、「ローマ教皇フランシスコが、8月31日から9月4日までモンゴルを訪問する」と公表した。

モンゴルのカトリック教会は首都ウランバートルにあり、壮大なモンゴル平原の真っただ中に建つ。総信徒数が約1500人という小規模な教会の訪問期間としては、5日間と長く異例だ。ウランバートルのカトリック教会指導者であるジョルジョ・マレンゴ枢機卿が、教皇フランシスコによって枢機卿の位に挙げられたことも例外的である。マレンゴ枢機卿は、1974年生まれのイタリア人だ。

教皇指導下のバチカンが、ウランバートルのカトリック教会を重要視する理由は二つあると報道されている。

一つは、教皇の「福音宣教のために外に出ていくカトリック教会」「僻地(へきち)のカトリック教会」を重要視する政策。二つ目は、ロシアと中国に隣接するモンゴルが有する地政学的な視点からの重要性だ。

教皇は5月31日、バチカン広場で執り行われた水曜日恒例の一般謁見(えっけん)の席上、16世紀に中国へキリスト教を伝えたイエズス会のイタリア人宣教師であるマテオ・リッチをカトリックの宣教師の模範として紹介した。教皇は同じくイエズス会出身であり、中国での宣教に多大の関心を寄せている。バチカンは中国と「司教任命権の暫定合意」を延長させながら、宗教を取り巻く状況が改善されるのを待っている。

モンゴル平原にも影響力を強める中国に対して、ウランバートルから教皇がどのようなメッセージを発信するのか。キーウとモスクワの間での和平交渉に向けた「雰囲気づくり」を試みる教皇が、プーチン政権に対するアピールをするかなどに国際世論が注目している。

バチカン外務局長(外相)のポール・リチャード・ギャラガー大司教は6月4日、3日間の予定でウランバートルを訪問するためローマ空港を飛び立った。現地では、カトリック宣教師や信徒たちとの出会い、ミサの他に、モンゴルの外相、首相、大統領との会見、新設された「国立チンギス・カン博物館」などを見学するという。

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