本会一食平和基金から緊急支援 トルコ・シリアの大規模地震による被害、ミャンマーの国内避難民・地雷犠牲者に対し

シリア北部の都市アレッポでは、被災者に毛布などの援助物資が提供されている ©UNHCR/Hameed Maarouf

立正佼成会一食(いちじき)平和基金運営委員会はこのほど、2月上旬にトルコ南部のシリア国境付近で発生した大規模地震による両国の被害に対し3000万円を拠出した。加えて、ミャンマーで一昨年2月から続く国軍のクーデターによる影響を受ける避難民や地雷犠牲者に50万円の緊急支援を行った。

現地時間の2月6日午前、トルコ南部にあるシリア国境付近の都市ガジアンテップを震源とする大地震(マグニチュード7.8)が発生。同日午後にもガジアンテップから約100キロ離れた場所で大きな地震が起きた。その後も余震が続き、被害が拡大している。

トルコの国営メディアや英国に本拠を置くシリア人権監視団などの発表によると、両国の死者数は5万人を超え、犠牲者はさらに増える可能性がある(2月22日時点)。

世界最大の難民受け入れ国でもあるトルコでは、被災者の中に2011年から続くシリア内戦で逃れてきた難民や、その難民を受け入れてきた地域住民も含まれる。住宅やビルをはじめ道路や通信網などインフラに甚大な被害が出ており、負傷者の捜索や救助、がれきの撤去は困難を極めるとともに、被災者の生活再建のめどは依然として立っていない。

国連WFPから、シリアにいる国内避難民に家庭用食料セットなどが配布されている ©Al-Ihsan Charity

シリアの被災者の中には、内戦による攻撃で破壊された安全性の低い建物やテントで生活している人も多く、同国の内戦で反政府組織などの武装勢力によって分断された地域に住む人々に国際NGOの支援が十分に届きにくい状況もある。被災者は厳冬の中でさらに過酷な避難生活を送っていて、冷たい風や雨、雪から身を守る支援を届けることが急務となっている。

同運営委員会ではこうした状況を踏まえ、トルコとシリア両国で支援活動を行う国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と国連世界食糧計画(国連WFP)の双方に1000万円、主にトルコで支援活動を行う認定NPO法人ジェン(JEN)に800万円、NPO法人アムダ(AMDA)に200万円をそれぞれ寄託することを決定した。

トルコの都市ガジアンテップの地区の一つ、ヌルダーでの被害状況。がれきの撤去は進んでいない(写真提供・JEN)

UNHCRは、トルコの被災地にテントや調理器具などの緊急援助物資を提供。シリアにも防寒着などの救援物資を配布し、避難所にいる人々を対象に心的ケアを行っている。国連WFPは、両国の避難生活者50万人を対象に家庭用食料セットや温かい食事を届けている。

JENはトルコ南東部で食料や粉ミルク、防寒着、マットレスなどの寝具、衛生キットを配布。AMDAは2月11日に医療チームをトルコに派遣し、現地の協力団体と共に医療支援を実施している。

一方、ミャンマーでは、一昨年2月1日に発生した軍事クーデター以降、同国軍による市民への弾圧が激化。故郷を追われる避難民が増え続け、その数は今年2月6日時点で160万人を超えたという。

ミャンマーの国内避難民が多くいる村での診察活動の様子(写真提供・JCBL)

特にタイ国境に近いミャンマー南東部のカヤー州、カイン州などでは、国軍と武装勢力との戦闘や地雷による地元住民への被害が増えている。さらに、避難所の数をはじめ食料や医薬品が足りないことから、避難民は厳しい状況に置かれている。

2017年から同基金の助成を受け、カヤー州で地雷犠牲者に対する義足支援を実施してきたNPO法人地雷廃絶日本キャンペーン(JCBL)だが、現在は武力衝突の激化により同地での活動を停止している。

今回、JCBLは、タイ国境の安全地域に三つの仮設病院を設置する現地団体(Dove KK)の協力を得て、戦闘や地雷によって負傷した住民に仮設病院3カ所での医療サービスを実施。国内避難民に対する生活物資支援、地雷負傷者に対する術後療養支援なども行う。同基金の浄財は、こうした支援活動に役立てられる。