寒修行 各地で心ひとつに 大聖堂での初日に光祥次代会長が読経の導師をつとめ、あいさつ
一年で最も寒さの厳しい時季である「大寒」の1月20日から「節分」の2月3日まで、『法華三部経』全巻を読誦(どくじゅ)し、一年の誓願を新たにする立正佼成会の「寒中読誦修行」(寒修行)が実施された。期間中、大聖堂(東京・杉並区)では午前6時から読誦修行が行われ、その様子がインターネットでライブ配信(会員限定)された。今年も新型コロナウイルス感染症対策のため、会員は大聖堂に参集せず、それぞれの家庭で配信に合わせて読誦したほか、感染防止策を施した教会道場などで修行に取り組んだ。
初日の1月20日、大聖堂聖壇では、当日に読誦される各品の概説が読み上げられた後、午前6時に読誦修行が始まった。静寂の大聖堂に、「無量義経」の「徳行品第一」「説法品第二」「十功徳品第三」を読誦する声が響いた。昨年に引き続き、庭野光祥次代会長が導師をつとめた。
終了後、あいさつに立った光祥次代会長は、最近読んだ小説に、社会や共同体が規定する正しさや常識などに縛られて、自分らしく生きることができない苦しみが描かれていたと詳述。そうした日常で感じる生きづらさや不快感などは、仏教が説く「苦」の原語「ドゥッカ」が表す意味であると示し、釈尊の苦しみも、現代の人々が社会の中で感じている生きづらさに近いものだったのではないかと話した。
また、私たちは法華経を学び、すでに仏の教えを知っていることで、自分の心を見つめて苦を深く感じ取る前に、「教えはこう。だからこうあるべき、こうすべき」と正解に先回りし、自身を縛ってしまう場合があると指摘。それにより、さらに生きづらくなってしまうことがあり、これが会名の「立正佼成会」の「立正」(正しい教えを打ち立てる)と、「佼成」(人々が交わり励まし合って共に向上する)の「接続の悪さ」の原因になっているのではないかと述べた。
さらに、先回りすることなく、釈尊の悟りの過程を誠実に歩み、人々の生きづらさに耳を傾けることで、若者や苦を抱える多くの人々の助けになることができると伝えた。そして、「教えは人を縛るものではなく、私たちを生きづらさから解放してくれるもの」と話し、このことを大切にして今年一年を過ごしていきたいと語った。
期間中、各教会でも、大聖堂のライブ配信を視聴して各家庭で読誦が行われた。また、感染対策を徹底した教会道場での読誦修行や、独自に配信を実施するなど工夫を凝らした教会も見られた。
また、甲府教会でも1月20日から29日まで、各家庭での読誦修行と併せて、教会道場で午前9時から寒修行を実施。期間中、日程を前半と後半に区切り、支部ごとに導師や脇導師を担うなどして、人数を限定し、読誦修行を行った。同教会教務部長(68)は、「少人数でしたが、教会に参集できると一体感が生まれて安心します。新しい年を迎えられることに感謝を込めて寒修行に励むことができました」と話した。
練馬教会では、1月20日から2月3日の間、各家庭での読誦と併せ、全日程で青年部員らが導師などの役をつとめ、午前10時から教会道場で感染対策を徹底して寒修行を行った。その様子は、同教会会員に向けてライブ配信された。1月22日に鐘の役をつとめた同教会学生部員(13)は、「姿勢を意識して取り組みました。終わった後、みんなに良かったよと言ってもらえてうれしかったです」と感想を述べた。
また、海外の拠点でも寒修行が行われた。北米国際伝道センター(RKINA)では、ウェブ会議システムを使って開催し、会員らがオンラインで参加した。