欧米キリスト教の凋落を非難するキリル総主教(海外通信・バチカン支局)

モスクワで懇談したWCCのサウカ総幹事代行(写真左)とロシア正教会のキリル総主教(WCC提供)

世界教会協議会(WCC)のイオアン・サウカ総幹事代行はこのほど、同中央委員会から要請を受けてロシアの首都モスクワを訪問し、ロシア正教会の最高指導者であるキリル総主教と懇談した。WCCのプレスリリースが10月17日に明らかにした。

両指導者の懇談は、ロシアによるウクライナ侵攻を支持するロシア正教会をWCCから追放せず、対話路線を選択した中央委員会の決議を受け、「紛争、戦争、暴力を避け、出会いと対話を通して、和平と和解の橋を構築していく」ことを目的に実施された。

だが、キリル総主教は、過去の発言と同様に「西洋(欧米)のキリスト教の凋落(ちょうらく)現象」を指摘。欧米各国でキリスト教の教会が閉鎖され、「欧米で増加しつつある、敬虔(けいけん)なムスリム(イスラーム教徒)の祈りの場となり」、最悪の場合には、「賭博場(カジノ)、レストランなどの娯楽施設に改装されている」と非難した。ロシアの通信社「インタファクス」が同日に報道した。

キリル総主教によると、この現象が欧米キリスト教の「深い霊的凋落」と「欧米文明の生命力の枯渇」を意味しているという。そして、「強い精神性を有する文明のみが生き残る」とも主張。「人々からの要請がある所に教会が建つ」との視点から、「ロシアに勝る所は無い」と発言した。なぜなら、ロシアでは「神を信じ、故国を愛する国民の精神性が強靭(きょうじん)」であるのに対し、欧米諸国では人々が「安楽の中でリラックスし、故国を愛することが何であるかを忘れ、たくさん金を儲(もう)け、使うことだけを考えている」と非難した。

また、ロシアの独立系メディア「メドゥーザ」(同日付)によると、キリル総主教はプーチン大統領の70歳の誕生日である10月7日、ロシア全土の教会で「大統領の健康と長寿のため、熱烈な祈りを捧げるように」と信徒たちに指示。モスクワ総主教区は、そのための祈禱文(きとうぶん)をも配布したとのことだ。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)