本会「ウクライナ緊急募金」総額発表 全国の会員から1億3971万円 国内外で避難生活送る人々を支援

今年2月24日のロシア軍によるウクライナ侵攻以降、自国内や近隣諸国で避難生活を送るウクライナの人々を支援するため、立正佼成会が3月末から取り組んできた「ウクライナ危機への諸宗教ネットワークによる対話の取り組みと人道支援のための募金」(ウクライナ緊急募金)の総額がこのほど、教団本部から発表された。約半年間で全国の会員から寄せられた浄財は1億3971万2401円に上った(9月26日現在)。

ロシアによる軍事侵攻から7カ月が経過した今も、ウクライナ各地で激しい戦闘が繰り返されている。国連機関の発表によると、子供や女性を含む5000人以上の民間人が犠牲になり、安全を求めてウクライナ国外へ避難するため国境を越えた人は1200万人を突破した。国内にとどまった人々は、やまない砲撃におびえ、電気や水道といったライフラインの断絶、食料不足や医療・保健サービスの停止などで、690万人以上が厳しい生活を送っている。

本会ではウクライナ侵攻の開始直後から、一食(いちじき)平和基金による支援金拠出や、欧州会員と国内会員がウェブ会議システムでつながり、『法華三部経』の通読供養を行うなど、早期解決に向けた取り組みが行われてきた。一方で、教団本部には全国の会員から「ウクライナのために何かできることはないか」という声が数多く寄せられた。長期化する戦闘で深刻な人道危機が生じているウクライナの現状と会員の要望を受け、教団本部は今回の「ウクライナ緊急募金」の実施を決定した。

当初、緊急募金の実施期間は5月31日までと発表されたが、急増するウクライナ避難民の現状を考慮し、8月31日まで延長された。全国各教会では、新型コロナウイルス感染症の流行で対面による声かけや、街頭での呼びかけなどが制限される中、さまざまな工夫を凝らした取り組みが展開された。紛争の早期終結を祈願し、平和のメッセージを会員に募集するとともに献金への協力を呼びかけた教会や、平和を願う文章を添えたオリジナルの封筒を作り、地区のサンガ(教えの仲間)や隣近所など一軒一軒に声をかけて回った会員もいた。

会員から寄せられた浄財のうち4000万円は、9月21日から23日まで行われた世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)国際委員会、同日本委による「『戦争を超え、和解へ』諸宗教平和円卓会議」に役立てられたほか、今後の和解のための対話プログラムに活用される。9月の第1回東京平和円卓会議では、今も戦争・暴力下にあるミャンマーや南スーダン、ウクライナやロシアといった国々から宗教指導者らが一堂に会し、宗教の役割や和解に向けた実践的な経験、活動が話し合われた。さらに、同日本委がポーランドに派遣しているボランティア隊の活動資金に充てられるほか、聖エジディオ共同体(カトリック在家運動体、本部・ローマ)といった国際諸宗教ネットワークを通じた人道支援にも寄託される。さらに、北九州支教区が大分へ避難するウクライナの人々を支援するなど、教会や会員から提案された日本国内の避難民支援にも活用される。

「ウクライナ緊急募金」の終了にあたり、和田惠久巳総務部部長は「コロナ禍でなかなか教会に行くことも難しく、また、経済の低迷による物価の上昇など私たち自身の生活にも影響が出ている中で、募金にご協力くださいました全国の会員の皆さまに、心より御礼を申し上げます。地理的には遠く離れたウクライナで起きている紛争に、自分事として心を寄せて、大変な思いをしている方たちのことを念じるその姿はとても尊く、私自身も世界の国々で起きている出来事や人々の痛みを他人事にしないという姿勢を学ばせて頂きました。皆さまから寄せられた真心からの浄財を、ロシアとウクライナの和平をはじめ、傷ついた人々の支援活動に役立てていきたいと思っています」と謝意を表した。