全国教育者習学の集い 上田紀行氏らが鼎談

東京工業大学リベラルアーツ研究教育院長の上田紀行氏(右)らによる鼎談が行われた

『笑顔と涙によりそおう』をテーマに1月30日、立正佼成会の第4回「全国教育者習学の集い」(主管・教育グループ)が東京・杉並区の法輪閣で開催された。教育関係者の会員186人がウェブ会議システムを使って参加した。

参加者は、庭野日鑛会長の今年の『年頭法話』をかみしめる映像作品(習学部制作)を事前に視聴して集いに臨んだ。

当日は、『内的成長の視点から関わる現場教育~子どもが輝いて生きるために』と題して、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院長の上田紀行氏、公立小学校の校長、中村記子習学部部長による鼎談(ていだん)が行われた。

冒頭、上田氏が近年の学生の傾向として、周囲の目や評価を気にし、人に受け入れられようとして自分の個性を極力出さず、人生で何をやりたいのかも分からなくなっていると指摘。一人ひとりが豊かな「志」を持つ大切さを示すとともに、「人間は誰でも欠点がある。ダメな所があるから面白い」と語り、教育者は子供たちの足りない部分をことさらに探して指導し、全てにおいて優秀な「満点」の人間にしようとするのではなく、その子ならではの良い所を褒めたたえ、伸ばしていくことが大事と述べた。

この後、3氏が意見を交わした。公立小学校の校長は、勤務先の学校に成績優秀であるものの、勉強が好きではない児童がいることを紹介。一方、あるクラスでは、勉強のできる児童が勉強の苦手な児童に教えていることに触れ、「そのクラスはあったかいんですね。勉強を教える子も、相手に分かってもらえる喜びを感じて勉強が楽しい」と話し、子供たちが互いに成長している様子を報告した。

中村部長は、「諸法無我」の教えに触れ、子供たちが遊びの中で互いにつながり合っていることを体感できると説明。自身も小学校の教員を務めた経験があり、大学の卒業論文では「遊び」をテーマに、子供たちが一緒に遊ぶ砂場は一番の教育の場であると考察したことを振り返り、「人間は人との関係性の中で自分の力を発揮できるという視点も大事」と述べた。

最後に上田氏が、いつか子供たちが花を咲かせるために日々、教育者として良き種を蒔(ま)き続けていると思えば、大らかな気持ちで子供たちと向き合えるし、自分を輝かせられると強調。「そうした希望は必ず子供たちにも伝わる」と語った。

続いて、参加者はグループ別に集いでの学びや教育現場での体験を分かち合い、代表4人がその内容を発表。田中啓之習学部次長(教育グループ)がまとめの言葉を述べた。