仙台で日本臨床宗教師会の「第2回フォローアップ研修」 現場で求められる力量とは

日本臨床宗教師会による「第2回フォローアップ研修」が2月26、27の両日、エル・パーク仙台や東北大学で行われ、約180人の宗教者や市民が集った。

「臨床宗教師」とは、被災地や医療機関、福祉施設といった公共空間で心のケアを行う宗教者。布教を目的とせず、死への不安など苦悩を抱える人々に寄り添う。昨年、臨床宗教師の活動の普及と資格認定を目指す全国組織として、「日本臨床宗教師会」が設立された。

26日には、株式会社クオリティヘルスケア研究所の中原登世子代表取締役が『臨床宗教師に求められる力量とは~養成と力量価値、要員認証のしくみを考える』をテーマに講演した。

中原氏は、国際標準化機構(ISO)のマネジメントシステム主任審査員として、第三者の立場から病院の審査に携わり、医療・福祉の向上に努めている。また、早稲田大学人間科学博士で、『看取りにおける宗教的資源の活用』をテーマに、研究も行っている。

講演の中で、臨床宗教師が実際に活動する医療現場での調査に触れ、医療従事者から聞いた臨床宗教師のメリット、活動への期待などを紹介。医師や看護師では聴ききることができない患者の「死」への不安や恐怖に対して、確固たる死生観を持ち、患者や家族、さらに医療従事者を支援できる臨床宗教師のような人材が必要と語った。

一方、臨床宗教師の資格認証制度のあり方にも言及。「誰のための認証制度か」を明らかにし、付与される資格が力量を保証するものでなければ、社会のニーズに応えられず、信頼が得られないと強調した。

続いて、『臨床宗教師の倫理』をテーマに、大村哲夫東北大学助教が講演し、京都府が臨床宗教師と連携して取り組む自殺対策を紹介。臨床宗教師は布教を目的としないため、政教分離の原則に基づいて活動しなければならない自治体も協力して事業を進めることができると述べ、定められた倫理に基づく活動の有効性を説明した。

この後、台湾の緩和ケアの視察報告や『臨床宗教師と宗教者』をテーマにシンポジウムなどが行われた。