対立が深まるパレスチナ・ガザ いのちを守るために、NGOがトークイベント
『パレスチナ・ガザの今――現地からの最新報告と人権をめぐる専門解説』と題したトークイベントが7月3日、東京・港区の天光院で開催された。認定NPO法人の「日本国際ボランティアセンター」(JVC)と「ヒューマンライツ・ナウ」(HRN)が共催した。
パレスチナ自治区ガザでは今年3月30日以降、1948年のイスラエル建国とその後のユダヤ人入植によって土地を追われた住民が故郷に帰還する権利を求め、「帰還大行進」と呼ばれる抗議活動を行っている。これに対し、イスラエル軍は武力による鎮圧に乗り出し、これまでに140人を超える市民が死亡、1万4000人以上が負傷している。
当日は、JVCパレスチナ事業担当の並木麻衣氏、ジャーナリストの志葉玲氏、HRN事務局長の伊藤和子弁護士がそれぞれ報告した。
並木氏は、国際社会からテロ組織として認定されている過激派・ハマスが2007年からガザを実効支配するようになって以降、治安維持を理由に、イスラエル軍がガザとの境界を封鎖していると説明。これによって人と物資の移動が制限され、出稼ぎや輸出入が困難になり、経済的な困窮につながっていると述べた。
また、ガザ唯一の発電所がイスラエル軍による攻撃で損傷し、輸入制限による燃料不足も影響して、1日の通電時間が3~4時間程度になっていると解説した。そのため、下水処理施設が稼動できないために飲用水にされてきた地下水の96%が汚染されたり、病院で手術ができなくなったりといった問題が生じていると指摘。「イスラエルが首都と主張するエルサレムに、米国が大使館を移転させたことだけが今回の抗議活動の理由ではなく、継続的な困窮状態が人々を抗議活動へと駆り立てている」と語った。
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