ホタルの光を復興の象徴に 明社が「南三陸町ホタル再生プロジェクト」

中山さんは以前から、小学校校長として勤務先の児童たちと取り組み、自宅でもホタルの繁殖を成功させていた。地域の人々が愛した自然の風景を取り戻そうと、中山さんは、その場でホタルのいる町づくりに向けた協力を申し出たのだった。

ゲンジボタル(上)手作りのホタル「育成ハウス」(下)

以来、中山さんのアドバイスに従って仙台明社のメンバーと地元住民が協力し、かつてホタルが生息した同地区の山林に、川の清流を水源とした小さな池を整備した。ホタルの孵化(ふか)に必要な土手を造り、農業用ネットで囲った「育成ハウス」を設置。池には、ホタルの幼虫が主食とするカワニナやタニシの餌となるセリやクレソンを植えた。その上で、近隣地域でカワニナやタニシを採集して池に移植するなど、定期的な管理を続けてきた。今回は、ゲンジボタルの育成ハウスでの繁殖、定着のために、近隣に生息するゲンジボタルを移植する作業を行った。

仙台明社のメンバーで、同プロジェクトのリーダーを務める高沢德幸さん(67)は、「ホタルの光には人の心を引きつける不思議な力があると思います。この光に呼び寄せられて、人と人が出会い、つながっていくきっかけになるよう、今後もしっかりと管理をしていきたい」と語った。