立正佼成会 庭野日鑛会長 3月の法話から

3月に大聖堂で行われた式典から、庭野日鑛会長の法話を抜粋しました。(文責在編集部)

本質を忘れず、新しさを求め

物事を新しくするには、大変な用意をして、努力していくことが大切です。ただ単に古いから新しくしていこうということではなく、古いものをよりよくしていく、人さまのためになるものにしていくということであります。

佼成会でしたら、今年で87年という歴史・伝統のあるものを、いかにして現在にふさわしい教団にしていくかということであります。ただ単に世の中に合わせていけばいいということではなく、これからまた本当の意味でいかにして世の中のためになる教団にしていくか、現代にふさわしい、しかも本質を失わないものにしていくかという意味合いがあるのです。
(3月1日)

布施の心がけ

仏教では「六波羅蜜(ろくはらみつ)」が教えられており、その最初に「布施」が出てきます。施しということが、特に宗教の世界では大切な行であると教えて頂いています。

布施という言葉は、本来は「ダーナ」(サンスクリット語)という言葉であります。「ダーナ」とは「旦那(だんな)さん」のことで、旦那さんはちゃんと働いて、しっかりと家族を養う役割を果たすわけであります。

施しには、金銭を捧げること、身を尽くすことなどいろいろありますけれども、人に尽くすためには、日々健康に生きることが大切です。ですから、健康ということも大事な布施の一つなのです。
(3月1日)

「新」に込めた思い

こういう詩を新聞(令和2年7月7日付産経新聞「朝の詩(うた)」)で見ました。
『時の流れ』
人は
年を重ねるたびに
新しい時をつくります
私自身が
新しい人になるのです
見上げる空は新しい
見つめる花も新しい
年月のなかで
もっともっと
自由になれ
人は
老いるのではない
新しい人になるのだ

私たちは年齢を重ねて、「老いる」と言いますけれども、この人は、老いるのではない、新しい人になるのだと言われます。あらゆる生きものの体は毎日、新陳代謝しています。新陳代謝とは、古いものが次第に去って、新しいものがこれに変わることですから、それは老いるというよりは、新しく変わっているのだと言うのです。

私は今年、この「新」という一文字に、一年をかけてみようと思い、今日こうして皆さんに申し上げたわけであります。
(3月1日)

努力によって

私たちが健康で元気で日々を過ごすために、「健康の三原則」というものがあります。
一、心中常に喜神(きしん)を含むこと。
二、絶えず感謝の念を含むこと。
三、常に陰徳を積むこと(陰ながら善いことをする)。

この三つを日頃、心がけることが大切であります。

「喜神」については、このような解説があります。心の奥深いところにいつも喜びを持って対処すると、困難も逆境もいつしか越えていける。人には運命といわれるものが確かにあるが、それは避けられない運命ではない。いかなることがあろうとも、甘んじて受け止め、喜神を含んでコツコツと努力すれば、運命は開かれ好転していく――ということであります。

この三原則を日々しっかりと踏まえて、精進させて頂きたいと思います。
(3月1日)

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