職員人権啓発講座 子どもの人権をテーマに

立正佼成会の人権委員会(委員長=和田惠久巳総務部長)が今年も、会員の人権意識を育み、差別をなくすための啓発活動を行っている。同委員会は、部落差別問題(同和問題)をはじめ、時代とともに多様化、複雑化する人権の問題を理解し、あらゆる差別の解消を目指すことを目的に活動している。今年9月12日には、全教会長を対象とした「教会長人権学習会」を開催。大東文化大学の渡辺雅之特任教授を招き、『アンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)』と題して学びを深めた。

10月23日には「職員人権啓発講座」を実施し、本部職員ら約260人が出席した(オンライン含む)。当日は、東洋大学福祉社会デザイン学部社会福祉学科准教授で子どもの権利条約ネットワーク事務局長の林大介氏が講師を務め、『子どもの人権~子どもの意見表明~』をテーマに講演した。

林氏の講演要旨を紹介する。(文責在編集部)

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1989年に国連で子どもの権利条約が採択され、日本は94年に批准しました。子どもが大人と同様に権利の主体であることを定めたこの条約には、通底する四つの一般原則があります。

まずは「差別の禁止」。子どもの権利の保障に関して、全ての子どもはさまざまな理由(性別やジェンダー、人種、民族的・社会的出身、言語、宗教、財産、障がい出生等)で差別されてはならず、条約の定める全ての権利が保障されなければなりません。次に、「子どもの最善の利益」。子どもに関することが決められたり、行われたりする時は、子どもにとって最も良いことが第一に考慮されなければならないと定めています。三つ目は「生命・生存・発達に対する権利」。全ての子どもは、その生命を守られ、生存・発達を最大限に保障され、持って生まれた能力を十分に伸ばして成長できるよう、医療、教育、生活への支援などを受けることが保障されなければなりません。最後は「子どもの意見の尊重」。子どもには、自分に影響を与える全ての事柄について自由に意見を表明し、その意見を正当に重視される権利があります。

ユニセフでは、この原則をもとに、さらに各条で定めている子どもの権利を、「生きる権利(生存)」「育つ権利(発達)」「守られる権利(保護)」「参加する権利(参加)」と分類しています。

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