「ムスリム世界連盟とバチカンの対話」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

ムスリム世界連盟とバチカンの対話

「ムスリム世界連盟」(MWL)のムハンマド・アルイーサ事務総長(ムスリム学者連盟会長)は5月27日、バチカンを訪問し、教皇の居所「聖マルタの家」でローマ教皇フランシスコと懇談した。

MWLは、イスラームの中で厳格で保守的な「ワッハーブ派」の勢力が強いサウジアラビアのNGO。同国のメッカを拠点とし、「人類のためのイスラーム」を旗印に掲げ、「過激主義やテロリズムを排し、(人類の)連帯と結束を促進する」ため、1962年に創設された。

エジプトのニュースサイト「エジプト・トゥデイ」は29日、教皇とアルイーサ事務総長の懇談について報道。両指導者が、友好的な雰囲気の中で、「さまざまな国際問題、特に、諸国家、諸国民の文明間における共通の価値観とつながりの構築、あらゆる形での憎悪、人種差別、疎外、排除を含めた、宗教的、知的過激主義への対応」について議論したと明かした。

また、同サイトは6月1日、アルイーサ事務総長がバチカン国務省長官のピエトロ・パロリン枢機卿との昼食会に出席し、席上、「諸国家、諸国民の文明間同盟に関するプログラムの推進に向けた、キリスト教とイスラームの協力」について話し合ったと報じた。特に、「相違と多様性を創造するという神の叡智(えいち)を基盤とし、宗教的、民族的多様性の中における最良の形での共存」について意見を交わしたとのことだ。

アルイーサ事務総長とパロリン枢機卿は、「相違と多様性が、回避できない文明間での紛争の原因であるという見解は、悲観的で間違っている」という点で合意を見いだした。

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