本会創立79周年記念式典 ミードビル・ロンバード神学大学院元学長が祝辞(詳報)

立正佼成会の「創立79周年記念式典」が3月5日、大聖堂をはじめ全国各教会で挙行された。大聖堂の式典には会員約4000人が参集した。席上、法話に立った庭野日鑛会長は、人間として生まれたことへの感謝を忘れず、菩薩行を通して人々の救いに取り組む尊さを述べた。式典の模様は国内外の教会・拠点にインターネットで同時配信された。

本会は、「一人でも多くの人に法華経に示された人間の生き方を知ってもらい、本当の幸せを自分のものにして頂きたい」という願いのもと、庭野日敬開祖と長沼妙佼脇祖により、昭和13年3月5日に創立された。

式典では全国の青年女子部員16人による奉献の儀に続き、読経供養を厳修。導師をつとめた庭野光祥次代会長が庭野会長の啓白文を奏上した。この中で、庭野会長は「私たちは、真因(仏の境地に達すべき真実の原因)を一人ひとりが持っています。仏道を歩むのは本人の自覚から始まるのです。信仰はみんなが初代です」と示した。

続いて、米国ミードビル・ロンバード神学大学院のジーン・リーヴス元学長が祝辞。庭野日敬開祖との出会いをはじめ、本会の特長や今後の期待を述べた(下記参照)。

この後、川端健之理事長の教団代表あいさつの中で、同大学院から庭野開祖に名誉法学博士号が贈られた授与式の様子を映像で紹介。「神も仏も皆、一つのところに同根であって、われわれを救ってくださるものと確信している」と述べる庭野開祖の姿が映し出された。

次いで、教会役員功労者217人を代表して宇部教会の会員(70)、会員特別功労者212人を代表して佐倉教会の会員(91)に庭野会長から感謝状と記念品が手渡された。功労者表彰を受けた勝山教会の会員(73)が体験説法。長女の急逝から立ち直れたのは、「悲しみや苦しみをサンガ(教えの仲間)が共に背負い、心を軽くしてくださったおかげ」と語り、信仰とともに歩んだ半生を述懐した。

法話に立った庭野会長は、人間の心の中には、地獄から仏の境地までの十界が存在すると指摘。「心の迷いが甚だしくなり、人間や自然に向かって怒りの心を持つようになると、地獄の世界が現れます。一方、すべてのものに対して慈悲の心や思いやりの心を持つようになると、そこに仏の世界が現れるのです」と述べ、生きとし生けるものすべてが等しく尊い存在と認識する大切さを説いた。

また、「佼成新聞」(1月1日付)に掲載された宇宙飛行士・油井亀美也氏のインタビュー記事に触れながら、地球に生を受けた一人ひとりが生かされていることに感謝し、教えを基に人々の救いに徹していくことが大切と述べた。

立正佼成会の歴史(教団サイト)http://www.kosei-kai.or.jp/010gaiyo/0105/

「創立79周年記念式典」来賓祝辞 要旨


ジーン・リーヴス氏(ミードビル・ロンバード神学大学院元学長)
佼成会が持つ素晴らしい「遺伝子」を世界平和のために

祝辞を述べたジーン・リーヴス元学長

庭野日敬開祖は、法華経が、争いと苦しみの世界に生きる人々にとって、平和と幸福をもたらす乗り物であることを、近代において誰よりも見通された方でした。

妙法蓮華経法師品第十の冒頭で、お釈迦さまは薬王菩薩に語ります。「長い年月の末に成仏するのはどのような人か、と問われたならば次のように答えなさい。『それは彼等です』と」。そして目の前に集う人々を指さしました。そこには出家した僧と尼僧、男女の在家の修行者、神々、竜王、その他の人間以外の生き物たちがいました。言い換えますと、誰もが仏になれるのです。そして大切なのは、あなたもそこに含まれていることなのです。

ですが、法華経によれば、何ぴとも独りでは仏にはなれません。成仏は常に他者との関係、人さまを救うことによって可能になるのです。立正佼成会の法座修行の要はここにあります。法座は、誰もが現実に成仏できる場所です。庭野開祖によって示された法華経の一つの道なのです。

さらに、庭野開祖は、宗教協力活動にも尽力されました。国際自由宗教連盟(IARF)に加盟され、さらに世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)を創設されました。それも庭野開祖が示された法華経の一つの道です。

立正佼成会は他にも、何万という人々に救いの手を差し伸べる「一食(いちじき)を捧げる運動」、たくさんの子供たちを励まし続ける「親子で取り組むゆめポッケ」や、「アフリカへ毛布をおくる運動」など、国内外であらゆる支援活動に取り組んでこられました。

現在、皆さまは庭野日鑛会長の指導のもと、さまざまな方法で苦しむ人々を救い、誠実に菩薩行の実践をされています。庭野会長は全てのいのちが持つ本質的価値と素晴らしさを自覚することの大切さを繰り返しご指導くださいます。呼吸をし、話し、歩くことができることそのものが仏さまからの贈りものです。そのことに私たちは深く感謝しなければなりません。

庭野光祥次代会長の時代は未来です。私は光祥次代会長に、「良い意味でのトラブルメーカーになって頂きたい」という願いを伝えました。古代インドではヒンドゥー教、特にカースト制度を打ち破る試みとして新しい宗教が創造されました。それが仏教です。この意味において、お釈迦さまは良い意味でのトラブルメーカーでした。時代も場所も全く違いますが、庭野開祖もまた、良きトラブルメーカーでした。庭野開祖は新しい仏教運動をつくり、発展させることに挑戦されたのです。

私は、立正佼成会がこの素晴らしき遺伝子を、決して忘れないで頂きたいと願っています。それは、現在、そして未来の世界が直面する現実的な問題に、常に挑み続けるという遺伝子です。

今、世界では緊張が高まっています。特に、異なる価値観を持つ人々との間、国家間、そしてイスラームと他の宗教間の緊張です。そうした中で、人々は強い宗教的リーダーシップを求めています。現実の争いと苦しみに満ちた世界を、平和と調和に満ちた世界へと変える。それは容易なことではありません。とてつもなく大きな挑戦です。しかし、とてつもなく大きな価値があるのです。立正佼成会が取り組むべき挑戦は、この宗教的リーダーシップの発揮に他ならないのです。(文責在編集部)