「法華三部経」の要点

無量義経(むりょうぎきょう)

徳行品第一(とくぎょうほんだいいち)

大勢の出家、在家の修行者だけでなく、他教の神々も霊鷲山(りょうじゅせん)に集まり、間もなく説法を始めるお釈迦さまに供養をして感謝を表します。そして、菩薩のさまざまな徳がほめたたえられます。菩薩は、衆生の心に潤(うるお)いを与えて苦しみから救い、菩提心(ぼだいしん)を芽生えさせるといった徳を具(そな)えています。仏さまの教えをどのように実践していけばいいのか、その手本を、私たちに示しているのです。

一同が教えを聞く態勢をととのえると、大荘厳(だいしょうごん)菩薩をはじめ大勢の菩薩が、お釈迦さまの徳の尊さをたたえます。さらに、財宝、妻子、国城を捨て、ただ衆生を救うために修行され、ついには悟りを開いて法を説き続けられたお釈迦さまのご努力に対し、帰依を表します。

仏さまに帰依するとは、真理に随順(ずいじゅん)する人間になることにほかなりません。仏さまのものの見方を身につけ、心田を耕していくことが大切です。それによって、私たち一人ひとりが智慧(ちえ)と慈悲を具えた、明るく・優しく・温かい人間になることができるのです。

説法品第二(せっぽうほんだいに)

この品は、お釈迦さまが「実相」を説かれた、『無量義経』の中心となる品です。「実相」とは、すべてのものの真実の相(すがた)であり、宇宙の大いなるいのち〈本仏〉のことです。すべての存在は、大いなる一つのいのちの現れであり、お互いに関係し合いながら変化し、変化しながら関係し合って宇宙全体の大調和を保っています。それがただ一つの法、真実の相〈一乗〉です。

この大いなる一つのいのち〈本仏〉は、すべてを生かす根源のいのちであり、私たちがより成長できるように、数限りない縁を通して後押ししてくださっています。

お釈迦さまは、こうした真実を見究(みきわ)め、大慈悲の心を起こして、真理を知らずに苦しんでいる人々を救わなければならない、と説かれます。そして、一人ひとりの法に対する理解力や性質、欲望を深く知り、それにふさわしい説き方をするという修行のあり方を示されます。人さまに分かりやすく教えを伝え、喜ばれるような善(よ)き縁となることが、仏になる近道であり、一番の生きがいなのです。

十功徳品第三(じっくどくほんだいさん)

この品には、このお経に説かれた教えを理解し、実行すれば、どんな功徳があるか、どんな良いことができるか、世のため人のためにどんなに役立つことができるかということが、詳しく、徹底的に説かれてあります。

なかでも、第一の功徳がいちばん根本になるものです。はじめに仏の悟りを得たいと思う心〈菩提心〉を発(おこ)さしめるとあります。すると、「慈心(じしん)」「大悲(だいひ)」「随喜(ずいき)」「能捨(のうしゃ)」という四つの心〈四無量心(しむりょうしん)〉がはたらきます。そして「布施(ふせ)」「持戒(じかい)」「忍辱(にんにく)」「精進(しょうじん)」「禅定(ぜんじょう)」「智慧(ちえ)」の「六波羅蜜(ろくはらみつ)」の実践行へと続きます。

私たち人間の真価が現れるのは、「菩提心」を起こしてからと教えられています。「無量義」の教えを学び、実践することにより素晴らしい徳が身につき、仏さまの境地を目指して生きるという最高の人生が送れるのです。

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