「法華三部経」の要点

薬王菩薩本事品第二十三(やくおうぼさつほんじほんだいにじゅうさん)

『法華経』は実践してこそ生きる教えです。そこで、私たちの実践の手本として、この品以降から、さまざまな菩薩の徳と行いが示されます。

薬王菩薩は自由自在に人を救う力を具えています。お釈迦さまは、その理由について薬王菩薩の前世の物語〈本事〉を説き示されます。

薬王菩薩の前世の身である一切衆生憙見(いっさいしゅじょうきけん)菩薩は、両腕に火を灯(とも)して仏を供養しました。これは、「身をもって教えを実行する」ことが、仏さまへの最大の供養であることを教えています。それと同時に、苦労をいとわず実践することが、いかに人々の帰依心(きえしん)を呼び起こすかを象徴しています。

妙音菩薩品第二十四(みょうおんぼさっぽんだいにじゅうし)

理想の世界から現実の娑婆世界を訪れた妙音菩薩が、お釈迦さまの偉大さを讃歎(さんだん)します。妙音菩薩は、汚れに満ちたこの娑婆世界に正法(しょうぼう)を打ち立て、理想社会を建設しようとする努力が、いかに尊いかを証明するために来たのです。理想はそれを一歩ずつでも現実化してこそ、尊いのです。

観世音菩薩普門品第二十五(かんぜおんぼさつふもんぽんだいにじゅうご)

観世音菩薩は、世間の人々の苦しみや、望んでいること〈世音(せおん)〉を察し、それに応じた教えを説いて導きます。また、相手にふさわしい姿となって出現する〈普門示現(ふもんじげん)〉という徳と神通力を具えています。さらに、すべての衆生の苦しみを自らが代わりに引き受けて、すべての衆生を楽にしたいという「大悲代受苦(だいひだいじゅく)」の願いを持っています。この「普門示現」と「大悲代受苦」の二つは、観世音菩薩の最大の徳目を表しています。

私たちも観世音菩薩を手本としていくことが大切です。それは、大慈悲の精神で、相手が何に苦しみ、何を望んでいるのかをはっきりと見通し、それに応じた方便をもって救いの手を差しのべていくということです。

陀羅尼品第二十六(だらにほんだいにじゅうろく)

『法華経』を信じて実践する功徳について、薬王菩薩から尋ねられたお釈迦さまは、「無数の仏を供養するよりも、『法華経』の短い偈(げ)の一つでも理解し実践したほうが功徳ははるかに大きい」と答えられます。これに感激した薬王菩薩は、教えを広める人を必ず守護すると誓い、陀羅尼〈神呪(じんしゅ)〉を説きます。陀羅尼とは、「あらゆる悪を止(とど)め、あらゆる善をすすめる力」「それを唱えれば仏の世界へ直入できるという神秘的な言葉」のことです。

この品では、同様に『法華経』の教えに感激した菩薩や他教の神々が、次々に陀羅尼を説いて「この教えを信じ行じる人々を守護します」と誓います。

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