立正佼成会 庭野日鑛会長 3月の法話から

父・母・子は“同時誕生”

今月は、教団の誕生月です。新聞(「産経新聞」平成27年3月3日付1面)に掲載されていた詩を紹介しながら、「誕生」についてお話しします。『誕生日』(米田慎子氏作)という詩です。

誕生日
 
この世に
子どもが誕生するということは
母が一人誕生するということ
父が一人誕生するということ
おばあちゃんやおじいちゃんが誕生するということ
姉か兄が誕生するということ
誰かの誕生日は
みんなの誕生日

考えてみますと、子供さんが誕生すると、その時、「母親」が誕生するわけですし、「父親」も誕生します。また「おばあちゃん」「おじいちゃん」も誕生します。私も初めての孫ができて、「おじいちゃん」と言われた時、びっくりしました。この詩の如(ごと)く、子供が一人誕生することによって、母親、父親、おばあちゃん、おじいちゃん、また姉や兄が誕生することになるわけです。

夫婦に子供が生まれると、その時に夫と妻が、父と母になります。ですから、「誕生」ということをよく考えてみますと、父も母も、そのお子さんも、同時に誕生することになるのです。

私たちは普通、父がいて、母がいて、そこに子供が生まれたと捉えるのですが、よく吟味しますと、子供が誕生したから、そのお子さんの父親、母親が誕生した。父親が先に誕生していて、母親が誕生していて、そこに子供が生まれたというのではなく、“同時誕生”です。仏教的には、「因・縁・果」の関係に受け取れます。

一人の子供さんの誕生が、父の誕生、母の誕生、おばあちゃん、おじいちゃん、そして姉、兄の誕生につながっています。どちらが先ということではない、“同時誕生”であることが分かるのです。
(3月15日)

画・茨木 祥之

教えを正しく受け取るには

一人ひとりの信仰は、決して自分の一生の中で完結するものではありません。私たちは、お釈迦さまが説かれた永遠の真理、正法をすでに頂いているわけですが、その教えは常に精進しなければ、それを正しく受け取ることはできないといわれるほど深いものです。

「精進、精進、死ぬまで精進、生まれ変わったらまた精進……」――まさに人間が人間である限り、また全ての人が、常に自分に言い聞かせ続けなければならない言葉であると思います。
(3月15日)